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新たなIDタッチポイントの作り方


はじめに
株式会社グロースデータは、博報堂プロダクツグループの一員として、顧客データを基にしたタッチポイントの最適化に取り組んでいます。
本記事では、これまでの事例をもとに、効果的なタッチポイントを作り出すためのポイントをご紹介します。デジタルとリアルを融合させたタッチポイント戦略で、顧客との価値ある接点を創り出します。興味をお持ちの企業様は、お気軽にお問い合わせください。

株式会社グロースデータお問い合わせ

1.タッチポイントとは

タッチポイントとは、顧客がブランドや企業と直接または間接的に接触する「機会」や「場面」を指します。顧客が製品やサービスについて知り、感じ、行動に移すあらゆる接点を含んでいます。

タッチポイントの例
企業のWEBサイト・SNS投稿
店頭(商品を手に取り購入する)
商品の展示場・イベント
自社のECサイト(商品を比較検討して購入する)
自社専用のアプリ

タッチポイントと似たような言葉で「チャネル」という言葉がありますが、チャネルは、商品やサービスを顧客に届ける「手段」や「媒体」のことです
企業が顧客に情報を提供したり、販売活動を行ったりするために使用する流通経路です。

チャネルの例
TV・新聞・雑誌・ラジオなどの広告
ウェブサイト・SNSなどのインターネットメディア
総合ECサイトやメーカーのECサイト
スーパー・コンビニ等の店舗 
メールマガジンやSNSのDM/紙のダイレクトメール

タッチポイントの最大の利点は、仕組みさえ作っておけば、顧客の行動や購買の履歴を把握することでき、それらを分析して、ターゲットごとに精緻なパーソナライズ戦略を立てることが可能になる点です。これにより、購買意欲の向上や再購買率の改善を目指すことができます。



2.新たなIDタッチポイントを作るまで

タッチポイントは、顧客とのコミュニケーションを通じて認知度を上げ、企業やブランドのイメージを形成し、購入後もリピートにつなげる大切な接点です。

下記の事例をもとに、タッチポイント統合のポイントと新たなタッチポイントの例をご紹介します。

2-1.不動産会社「A」におけるケーススタディ

高級マンションやアパートの販売・賃貸を行う「A」社では、オンラインで問い合わせた内容が店舗で共有されておらず、データがシームレスに連携していない問題がありました。
情報が連携されていないことにより、顧客が異なるタッチポイントで、全く異なる対応を受けることによる混乱や不満がありました。
このようなケースは業界を問わず、よくご相談いただきます。

2-2.タッチポイントの整理:オフラインとオンライン

タッチポイントにはオフラインとオンラインのタッチポイントがあります。オフラインのタッチポイントは直接的な接触を通じ、対面での接客やイベント参加によって強い印象を残すことが可能です。しかし、コストがかかるため、戦略的な設計が求められます。

オフラインのタッチポイント
店舗(営業担当者)、オープンハウスイベントでの対面接客
リアルでの商談などで、数多くの顧客の情報を得ることができます
顧客一人一人の接客履歴・会話内容・反応などをテキスト化・データ化し、ID単位で管理していくことが求められます。

一方、オンラインのタッチポイントはSNSやWeb広告などを通じ、インターネットを介して時間や場所に制限されずに顧客との接触が可能です。データの収集や分析がしやすいため、顧客行動の把握と迅速な対応が可能になります。

オンラインのタッチポイント
例えば、専用アプリを通じて、顧客は物件情報を簡単に検索し、見積もりを作成。お気に入りに登録し、通知機能を利用して新しい物件情報を受け取ることができるようにできる。SNSでは、新しい物件の情報や内覧ツアーの動画を投稿し、顧客との接点を増加させることができる。

2-3.IDによるタッチポイントの統合

上記のオフラインとオンライン=オムニチャネルでの顧客データをIDで統合したCRMシステムを導入することで、すべてのチャネルで一貫した体験を提供することが可能となります。顧客の体験をそれぞれに終わらせるのではなく、顧客の良いタイミングを掴んで、適切にアプローチすることにより、顧客のブランド体験を向上させ、購買に繋げます。
たとえば、顧客がウェブサイトで物件情報をチェックし、アプリでお気に入り物件を保存。アプリで予約を入れて店舗に行き、スタッフと相談して物件を見学、最終的にオンラインで契約を進めるといった流れを作ることができます。

オンライン・オフラインタッチポイントをIDで統一

2-4.IDタッチポイント統合の効果

タッチポイントをIDで一元化することで、顧客は自分のペースで購入やサービスの利用ができるため、満足度が向上し、ブランドのイメージアップにつながります。

チャネル間のデータ連携により、顧客の行動や履歴を統合的に分析することで、個別のニーズに応じたパーソナライズが可能になり、より適切な提案やサービスを提供できるようになります。

2-5.新たなIDタッチポイントの創造

①バーチャル内見ツアー
例えば、新たなタッチポイントとして、バーチャル内見ツアーの導入が考えられます。これにより、顧客は自宅から簡単に物件を確認することができるようになります。物件内見の後、顧客に対してパーソナライズド通知が送信され、希望する物件に関する詳細情報や、キャンペーン情報、内見予約のリマインダーなどを通知することが可能です。

②AIを活用したパーソナライズ
また、AIチャットボットを使って、顧客とのコミュニケーションを効率化し、パーソナライズされたサービスも検討できます。
顧客がチャットボットとの会話の中で希望条件(エリア、予算、間取り、駅からの距離など)を入力させ、それに基づいてリアルタイムで物件を検索し、リストを提供します。提示された物件情報を簡単に閲覧し、さらに詳しい情報を確認することができます。
こうして検索した物件情報や閲覧した内容を基に、AIチャットボットは次に提案する物件をパーソナライズします。例えば、顧客が「2LDKの物件」を多く見ていた場合、次回ログイン時には「2LDKの新着物件」と「類似物件」を最初に提案することができます。

3.プライバシーと透明性の確保

新しいタッチポイントの構築においては、データの取り扱いに関する透明性が欠かせません。特に博報堂プロダクツグループとして、顧客のプライバシー保護に高い基準を設け、データ活用における透明性を重視しています。

プライバシーと透明性性の確保

3-1.カスタマーコンセントとオプトインプロセスの強化

顧客が自身のデータ利用について同意を得るプロセスや、収集されたデータの利用目的を明示する取り組みを強化しています。特に、オンラインとオフラインのタッチポイントを統合する際には、顧客が自分のデータがどのように使われるかを理解し、選択できる透明性のあるプロセスを提供することが求められます。

4.グロースデータが目指すタッチポイントの未来

グロースデータでは、顧客視点での体験設計を核に、データ分析やマーケティングツールを駆使してタッチポイントを設計することを強みとしています。

顧客中心のコミュニケーションに興味がある企業様は、ぜひ弊社の資料をご覧いただき、新たなタッチポイント戦略をご検討ください。


この原稿の執筆者

西川 暢一YOICHI NISHIKAWA㈱グロースデータ 取締役ビジネスデザイン本部長

国内コンサルティング会社でのキャリアを皮切りに、広告効果測定ベンチャーやECコンサルティングを経て、2012年に㈱博報堂プロダクツに入社。以来、流通小売や交通機関を中心とした業界において、データドリブンマーケティングを軸にした戦略提案からPDCAサイクル運用まで一貫したサポートを提供。特に、1to1マーケティング、リードマネジメント、オムニチャネル戦略における最適化を得意とする。データベースマーケティング、カスタマージャーニーマッピング、そしてAIを活用したパーソナライゼーション戦略を強みとし、EC運用においても、フルファネルアプローチを活用し、顧客エンゲージメントを深めながら売上の拡大を実現している。
◆主な実績
・航空会社:1to1コミュニケーションプロジェクト
・鉄道事業会社:インターネットでの列車予約客増マーケティング推進
・通信会社  :リードマネジメントの全体設計、分析、施策実施PDCA
・ファッション:オムニチャネル施策の設計と分析、検証をPMとして推進